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農地転用で太陽光発電は得か損か?メリットとデメリットを整理

不動産投資

小林 裕樹

筆者 小林 裕樹

不動産キャリア13年

不動産の分析・査定・提案ならお任せください!

農地を相続したものの、なかなか耕作が続けられず、このまま遊ばせておくしかないのかと悩んでいませんか。
そこで近年、検討されることが増えているのが、農地転用による太陽光発電の活用です。
農地転用を行い太陽光発電に切り替える方法には、収益面などのメリットがある一方で、許可手続きや費用、近隣との関係といったデメリットも存在します。
本記事では、農地転用と太陽光発電の基本的な仕組みから、農地所有者にとってのメリット・デメリット、さらに失敗を防ぐための確認ポイントまでを分かりやすく整理します。
農地を売却すべきか活用すべきか判断に迷っている方は、ぜひ最後まで読み進めて、自分に合った選択肢を検討する際の参考にしてください。


農地転用×太陽光発電の基本と仕組み

農地転用とは、本来は農作物の栽培に利用する農地を、農業以外の目的に使うことをいいます。
太陽光発電のために農地を利用する場合、多くは農地に支柱や基礎を設置し、その上部に発電設備を載せる形になります。
このとき、農地としての利用をやめて完全に発電用地とする方法と、営農を続けながら発電設備を設置する方法に大きく分かれます。
いずれの場合も、農地法に基づき適切な手続きと許可が必要になる点が重要です。

農地転用型太陽光発電は、農地の地目を変更し、農業以外の土地利用として太陽光発電のみを行う形態です。
一方、営農型太陽光発電は、農地に支柱を立ててその上に太陽光パネルを設置し、下部の農地で作物栽培を継続する仕組みです。
農林水産省は、営農型太陽光発電について、発電事業の期間中も下部の農地で適切に営農を継続することを条件としており、営農と発電の両立が前提とされています。
そのため、土地所有者は、農地を手放して発電用地とするのか、それとも営農を続けながら発電を行うのかという点を、初期段階で明確にしておくことが大切です。

営農型太陽光発電を行う場合、太陽光パネルを支える支柱の基礎部分は農地以外の用途にあたるため、農地法に基づく一時転用許可が必要です。
近年、営農が十分に行われず発電が優先されている事例が見られたことから、農林水産省は営農型太陽光発電に係る一時転用許可の基準を農地法施行規則に明記し、令和6年4月にガイドラインを施行しています。
土地所有者は、営農継続が前提であること、一時転用許可には更新や営農状況の確認があることなど、制度面の前提条件を理解したうえで検討を進めることが重要です。
また、完全に農地転用して太陽光発電用地とする場合も、農地転用許可が必要となるため、事前に制度や手続きの流れを把握しておくと安心です。


区分 土地利用の考え方 土地所有者の主な役割
農地転用型太陽光 農地から発電用地への完全転用 農地転用許可取得と発電事業への土地提供
営農型太陽光 営農と発電の同時継続 一時転用許可取得と営農継続の管理
共通事項 農地法に基づく許可の必要性 制度理解と行政との事前相談

農地転用で太陽光発電にする主なメリット

まず、農地転用により太陽光発電設備を設置すると、これまで収益化しにくかった耕作放棄地や不整形で使いづらい農地から収入を得やすくなることが大きな利点です。
発電した電気を電力会社に売ることで売電収入を得られるほか、自家消費に回すことで電気料金の削減にもつながります。
農林水産省や経済産業省は、農山漁村で再生可能エネルギーを導入することで地域の所得向上に資する可能性があると示しており、農地転用による太陽光発電もその一つと位置付けられています。

次に、太陽光発電は設備が適切に維持管理されていれば、比較的長期にわたり安定した発電が見込める点も挙げられます。
農地転用型で完全に農地以外へ用途を変える方法だけでなく、営農型太陽光発電のように農地の一時転用許可を受けて営農と発電を両立させる方法を選べば、土地を手放さずに活用しながら電力の自家利用や売電を行える場合があります。
営農を継続しつつ発電収入や電気料金の削減効果を得られれば、農業経営全体の安定化にもつながりやすくなります。

さらに、農地転用による太陽光発電は、地域全体の再生可能エネルギー導入を進め、温室効果ガス排出の削減に貢献できるという社会的なメリットもあります。
農林水産省は、営農型太陽光発電を含む再生可能エネルギーの活用が、地域の未利用資源を最大限活用しつつ、持続可能な経済社会や循環型社会の形成につながるとしています。
また、地域で発電した電力を農業施設や暮らしに活用することで、エネルギーの地産地消や災害時の電源確保に役立つ事例も報告されており、地域貢献という観点からも検討する価値があります。


メリットの区分 具体的な内容 土地所有者への効果
収益面のメリット 売電収入確保・電気代削減 遊休農地の安定収益化
土地活用のメリット 農地を手放さない一時転用 営農継続と発電収入の両立
社会的なメリット 再生可能エネルギー導入促進 地域貢献と環境負荷低減

農地転用で太陽光発電にするデメリット・リスク

農地を太陽光発電用地に転用する際は、まず農地法に基づく許可が得られない可能性がある点を理解しておく必要があります。
農林水産省は、営農より発電を優先し農地利用が損なわれた事例が増えたことから、令和6年4月に営農型太陽光発電の一時転用許可基準を省令レベルで明確化し、審査を厳格化しています。
その結果、営農継続の具体性や事業計画の妥当性がより厳しく問われ、申請書類の作成や関係機関との調整に時間と手間がかかりやすくなっています。
とくに、農業委員会による現地確認や、周辺農地への影響に関する説明が不十分な場合、許可取得までの期間が長期化するおそれがあります。

次に、太陽光発電設備には相応の初期費用と継続的な維持管理費が必要であり、想定していた収益が得られないリスクがあることも重要です。
固定価格買取制度の開始当初と比べると、売電単価は段階的に引き下げられており、近年は非住宅用の売電価格が1kWhあたり1桁円台になる水準の試算も示されています。
さらに、設備の故障対応や草刈り、パネル洗浄などの維持管理費が増加すると、長期的な収支は大きく変動します。
制度改正により買取条件が変更されたり、市場連動型の売電が中心となったりすると、想定より低い価格でしか電気を売れない場合もあり、投資回収期間が延びる可能性があります。

また、太陽光発電設備の設置は、景観や反射光、雨水の流れの変化などを通じて近隣とのトラブルにつながることがある点にも注意が必要です。
農林水産省は、太陽光発電導入に伴う土地利用調整や地域トラブルとして、排水不良や土砂流出、眩しさに関する苦情などが生じうることを課題として整理しています。
こうした問題が発生し、法令や許可条件に違反していると判断された場合、是正指導や原状回復、設備撤去を求められることがあり、その費用負担は土地所有者に及ぶ可能性があります。
事前に排水計画や保守体制、周辺環境への配慮を十分に検討しないと、収益よりも負担が大きくなるリスクがある点を踏まえて判断することが大切です。

項目 主なリスク内容 土地所有者への影響
許可・手続き 審査厳格化による不許可 計画停滞や申請費用負担
収益性 売電単価下落と制度変更 投資回収期間の長期化
近隣・法令 景観や排水を巡るトラブル 是正指導や撤去費用負担

農地所有者が押さえておきたい農地転用可否と立地の確認ポイント

まず、農地が農業振興地域内にあるかどうか、地目が何かを確認することが大切です。
農業振興地域内の農用地区域など、農地として保全する方針が示されている土地は、原則として転用が難しい位置付けとされています。
一方で、荒廃した農地を活用する営農型太陽光発電については、収量要件の取り扱いが見直されるなど、一定の条件の下で導入を促す方向性も示されています。
そのため、まずは市町村の農業委員会や担当窓口で、対象農地がどの区域に該当するのか、基本的な立ち位置を確認することが欠かせません。

次に、営農型と完全転用のどちらを目指すのかを、営農の継続可能性を軸に検討する必要があります。
営農型太陽光発電は、下部農地で適切な営農を継続することが前提であり、単収がおおむね一定割合以上確保できないおそれがある場合には、一時転用許可が認められない仕組みが設けられています。
一方で、完全に農地転用して発電設備の用地とする場合には、農地法上の厳格な許可基準に加えて、農業生産への影響が大きい優良農地では原則として認められないことに注意が必要です。
さらに、営農型で得られる余剰電力の売却収入は原則として事業所得または雑所得として扱われ、農業収入とあわせた税務上の整理も求められます。

また、手続きを円滑に進めるためには、早い段階で行政窓口へ相談し、必要書類や手順を整理しておくことが重要です。
農地に再生可能エネルギー設備を設置する場合には、農地法上の転用許可や一時転用許可が必要とされ、市町村の農業委員会などが相談窓口として設けられています。
あわせて、設置費用や維持管理費、売電単価の変動可能性などを踏まえ、自身の資金計画と将来の土地活用方針を簡潔な収支計画として書き出しておくと、許可申請時の説明資料としても整理しやすくなります。
このように、法的な前提条件と資金面・将来計画を同時に確認しておくことが、農地所有者の失敗防止につながります。

確認区分 主なチェック内容 失敗防止の着眼点
土地条件 農業振興地域区分
地目と利用状況
転用の難易度把握
荒廃農地かどうか
活用方式 営農継続の可否
収量への影響
営農型か完全転用か
許可基準との整合
手続と資金 必要許可と書類
導入費用と維持費
行政への事前相談
長期収支と税務整理

まとめ

農地転用による太陽光発電は、使いにくい農地を収益化できる一方で、許可や初期費用、近隣トラブルなどのリスクもあります。
メリットとデメリットを正しく理解し、自分の農地の条件や将来の活用方針を整理することが大切です。
当社では、農地転用の可否の事前確認から、営農型にするか完全転用にするかの検討、資金計画の整理まで丁寧にサポートしています。
農地の売却か活用でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

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