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【湾岸湾岸タワマンの怪】「売れない」のに「価格が下がらない」のはなぜ?不動産のプロが明かす市場の裏側

AI/査定/売買/不動産

小林 裕樹

筆者 小林 裕樹

不動産キャリア13年

不動産の分析・査定・提案ならお任せください!

「不動産売買の動きが完全に止まってしまった・・・・・」


湾岸エリアで不動産仲介を手掛ける業者がそう肩を落とすほど、首都圏の中古マンション市場は

東日本大震災や新型コロナウイルス禍以来とも言える大きな変調を迎えています。

日銀による利上げや価格高騰の影響により、物件の動きは著しく鈍化しています。

しかし不思議なことに、売り出されているマンションの価格は一向に下がりません。

「売れないなら値下がりするはず」という市場の原則が、なぜ現在の都心タワマン市場で通用

しないのでしょうか。

報道されている市場データや不動産仲介業者の分析をもとに、その背景にある構造的な理由と、

賢い物件探しのアプローチを紐解きます。


1. データで見る市況変調「成約急減」と価格高止まりの歪み

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表したデータによると、首都圏における中古マンション

の成約件数は前年同月比で22.7%減少しており、6ヶ月連続で前年を下回る厳しい状況が続いています。

特に深刻なのが、過去数年にわたりマンション相場を牽引してきた都心の高価格帯物件です。

地域ごとの成約件数の変化を見ると、その差は目立っています。

エリア
成約件数の前年同月比
特徴・動向
東京都区部
30.6%減
湾岸タワマンをはじめとする高価格帯物件の動きが
著しく停滞
周辺県(埼玉・千葉等)
7%〜19%減
減少傾向にあるものの、都区部ほどの急冷には至らず

成約件数が3割以上も落ち込んでいるにもかかわらず、東京都区部の成約価格(1㎡あたり)は前年比でほぼ

横ばい(約0.9%減)を維持しています。さらに、売り出し価格にあたる「新規登録価格」は高止まりを続け

ており、売り出し価格と実際の成約価格の乖離が開く、いわゆるる「ワニの口」状態が続いています。

2. なぜ売主は安易に値下げに応じないのか?


取引が停滞しているにもかかわらず、売主が大幅な値下げに応じない最大の理由は、近年の急激な不動産

価格上昇によって生まれる「圧倒的な含み益」と「実需(自分が住むための購入)」の存在にあります。

取引を手掛ける仲介業者の分析によると、売主側には次のような心理的・経済的背景が存在しています。


売主が「強気」を維持できる主な理由

  • 数千万円規模の含み益:過去数年間に購入した売主の多くは含み益を抱えており、資金繰り
  •                                    に困っていない。

  • 実需としての所有:自身や家族が生活の拠点として住んでいるため、売却を焦る必要がない。

  • 売り急ぐ理由の不在:離婚、転勤、買い替えといった急迫した事情がない限り、安値で売却
  •                                 するメリットがない。
仲介業者が「値下げをしないと売れない」と伝えても、多くの売主は「安く売るくらいならそのまま住み

続ける」という選択をとります。買主側の予算の上限と売主側の強気な希望価格とが噛み合わないまま、

双方の認識のズレが市場の停滞を生んでいます。

3. 価格交渉の狙い目——不動産のプロが着目する「買取再販物件」

強気な売主が多い中古タワマン市場において、1000万円単位の大幅な価格調整や交渉の余地が生まれ

やすいのが「買取再販物件」です。

買取再販物件とは、個人から不動産事業者が買い取り、リノベーション等を施した上で市場に再販売して

いる物件を指します。

個人売主と事業者売主では、売却に対する構造的なアプローチが大きく異なります。


  • 個人売主:保有コストが低く、希望価格で買手が現れるまで年単位で待ち続けることが可能。


  • 事業者売主(買取再販業者):仕入れ資金の融資返済期日や決算期、在庫回転率などの経営的制約が

  • 存在するため、一定期間が経過した物件については価格交渉や値下げに応じるインセンティブが働く。


事業者が売主となっている物件や、売却を急ぐ事情を抱えた売主のサインを見極めることが、相場より

有利な条件で成約にこぎつけるための鍵となります。

4. 今後の物件探しで押さえておきたいチェックポイント

湾岸タワマンをはじめとする高価格帯マンションの購入を検討している方は、市場の熱狂や提示価格だけ

に惑わされず、冷徹に状況を見極める視点が求められます。

  1. ポータルサイトの掲載期間を確認する 長期間売り出されているにもかかわらず価格が変わらない物件は、

  2. 売主が急いでいない証拠です。無理な交渉を挑むよりも、条件調整に応じやすい物件の出現を待つ方が

  3. 賢明です。

  4. 売主の種別(個人か事業者か)をチェックする 気になる物件があれば、売主が個人なのか不動産買取業者

  5. なのかを確認しましょう。事業者物件であれば、決算期や掲載期間に応じた交渉の打診が可能です。
  6. 「ワニの口」解消のタイミングを見極める 買い手の予算追いつかない状況が長期化すれば、最終的に

  7. 売り出し価格の見直しを余儀なくされる局面が訪れます。金利動向や成約データの推移に引き続き注視

  8. しておきましょう。

市場の動きが止まっている今だからこそ、焦って高値で飛びつくのではなく、売主の構造的立場を見極め

た戦略的な物件探しをおすすめします。


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