
賃貸併用住宅の税金はどう変わる?控除方法を押さえて節税を実現
賃貸併用住宅は、自宅として安心して暮らしながら、家賃収入も得られるため、住宅購入と不動産投資を同時にかなえたい方に注目されています。
一方で、所得税や住民税、固定資産税など、関わる税金が多く、控除方法や節税のルールを知らないまま進めると、思ったほど手元にお金が残らないケースも少なくありません。
そこで本記事では、賃貸併用住宅にかかる主な税金の仕組みから、自宅部分と賃貸部分の按分、さらに実際に使える控除や節税の考え方まで、順を追って整理して解説します。
これから住宅購入を検討している方や、節税も見据えて不動産投資を始めたい方は、ぜひ最後まで読み進めて、無理のない税金対策の全体像をつかんでください。

賃貸併用住宅にかかる主な税金と節税の全体像
賃貸併用住宅を取得・保有すると、主に所得税、住民税、固定資産税、不動産取得税、相続税といった税金が関わります。
所得税と住民税は、家賃収入から経費を差し引いた不動産所得があれば課税対象となり、他の所得と合算して負担額が決まります。
固定資産税などの地方税は、固定資産税評価額を基礎として毎年課税され、不動産取得税は取得時に一度だけ課税される仕組みです。
さらに、将来の承継時には相続税の対象となるため、取得時から相続までを通じて税負担を意識した計画が重要になります。
賃貸併用住宅では、自ら居住する部分と賃貸として貸し出す部分が混在するため、税金の扱いが部分ごとに異なります。
家賃収入に関係する支出は、不動産所得として所得税・住民税の計算上経費になりますが、自宅だけに関係する支出は原則として経費になりません。
そのため、床面積や部屋数など合理的な基準で、自宅部分と賃貸部分に支出を按分して集計することが求められます。
また、売却時には建物・土地の譲渡所得として別枠で課税が行われるため、取得時から将来の譲渡までの全体像を把握しておくことが大切です。
税負担を抑えるためには、どの税目でどのような軽減措置や控除が使えるのかを整理し、優先順位をつけて活用していく考え方が重要です。
具体的には、まず不動産所得に関する経費計上や控除により、所得税・住民税の負担を適切に抑えることが基本となります。
あわせて、固定資産税や不動産取得税には新築住宅や住宅用家屋等を対象とした軽減措置があるため、要件に該当するかを早期に確認する必要があります。
さらに、賃貸併用住宅は相続税の計算上、貸家として評価減が認められる場合があるため、長期的な資産承継も見据えて税務全体を設計する視点が欠かせません。
| 税金の種類 | 主な課税タイミング | 節税で意識したい点 |
|---|---|---|
| 所得税・住民税 | 毎年の不動産所得発生時 | 経費計上と控除活用 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年の不動産保有時 | 住宅用地等の軽減措置 |
| 不動産取得税・相続税 | 取得時・相続発生時 | 特例適用と長期設計 |
賃貸併用住宅の所得税・住民税で使える控除方法
賃貸併用住宅の家賃収入は、原則として「不動産所得」として所得税・住民税の課税対象になります。
この不動産所得は、家賃収入から必要経費を差し引いて計算するため、どの支出を経費として計上できるかが節税の重要なポイントです。
代表的な必要経費としては、建物の減価償却費、固定資産税や火災保険料、管理委託料、賃貸部分に対応する住宅ローンの利息などが挙げられます。
これらを正しく計上し、不動産所得を適切に算出することで、結果として所得税と住民税の負担を抑えることができます。
一方で、賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分が混在しているため、必要経費の多くは全体ではなく一部のみが不動産所得の対象になります。
その際によく用いられるのが、床面積や部屋数などを基準とした「按分」という考え方で、合理的な基準に基づいて賃貸部分に対応する割合を求めます。
たとえば、建物全体のうち賃貸部分が床面積の60%であれば、減価償却費や固定資産税など共通の費用も60%を不動産所得の経費として計上するといった形です。
また、帳簿付けを行い一定の要件を満たす青色申告を選択すると、青色申告特別控除や赤字の繰越控除などが利用でき、白色申告よりも節税効果が高くなる可能性があります。
さらに、賃貸併用住宅で住宅ローン控除を利用する場合は、居住部分の床面積や居住割合などの条件を満たす必要があります。
一般的な住宅ローン控除では、居住部分の床面積が50平方メートル以上であることや、床面積のうち一定以上を自ら居住することなどが要件とされています。
賃貸併用住宅の場合、住宅ローン控除の対象となるのは原則として居住部分に対応する借入金の部分であり、賃貸部分は不動産所得における経費(利息部分など)として扱われます。
初年度は確定申告で住宅ローン控除の適用を受ける必要があるため、登記事項証明書や年末残高証明書などの必要書類を早めに準備し、自宅部分と賃貸部分の割合がわかる図面や契約書もあわせて保管しておくことが大切です。
| 項目 | 内容 | 賃貸併用住宅での注意点 |
|---|---|---|
| 不動産所得の経費 | 減価償却費や固定資産税など | 賃貸部分に対応する金額のみ計上 |
| 経費の按分方法 | 床面積比など合理的基準 | 自宅部分との割合を明確に区分 |
| 住宅ローン控除 | 居住部分の借入金が対象 | 居住割合と床面積要件の確認 |
固定資産税・不動産取得税・相続税の節税ポイント
まず、賃貸併用住宅に関わる固定資産税と都市計画税について押さえておくことが大切です。
住宅が建っている土地は「住宅用地」として評価が抑えられ、とくに一定面積以下の小規模住宅用地は課税標準が評価額の約1/6まで軽減されます。
また、新築住宅については一定期間、建物部分の固定資産税が減額される措置があり、賃貸併用住宅でも居住と賃貸それぞれの床面積に応じて適用の有無を確認する必要があります。
このように、土地と建物それぞれに用意されている軽減措置を組み合わせることで、長期的な税負担を抑えやすくなります。
次に、不動産取得税の仕組みと軽減制度を確認しておきます。
不動産取得税は、不動産を取得した際に原則1回だけ課される都道府県税で、課税標準となる固定資産税評価額に税率を乗じて計算されます。
住宅やその敷地となる土地については税率がおおむね3%とされており、さらに住宅用家屋や住宅用土地には、課税標準から一定額を差し引く控除制度や、税額から一定額を差し引く軽減制度が設けられています。
賃貸併用住宅の場合も、自己の居住用としての要件や床面積要件などを満たせば、こうした軽減措置の対象となる可能性がありますので、取得前に条件をよく確認することが重要です。
最後に、賃貸併用住宅が相続税対策として有効になり得る仕組みを見ていきます。
賃貸部分のある土地は、相続税評価上「貸家建付地」として評価される範囲があり、自用地に比べて一定割合評価が下がるため、相続税の負担軽減につながる場合があります。
また、被相続人が居住していた部分については、小規模宅地等の特例により、一定面積まで評価額が大きく減額される制度があり、賃貸併用住宅でも自宅部分と賃貸部分を区分して判定されます。
ただし、居住継続や申告期限など細かな要件を満たす必要がありますので、早めに専門家へ相談しながら長期的な資産承継の設計を進めることが大切です。

| 税目 | 主な軽減内容 | 賃貸併用住宅の確認点 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 小規模住宅用地の課税標準1/6 | 自宅部分と賃貸部分の土地利用区分 |
| 不動産取得税 | 住宅用家屋・土地の税率3%と控除 | 居住用要件と床面積要件の充足 |
| 相続税 | 貸家建付地評価と小規模宅地等の特例 | 賃貸割合と居住継続要件の確認 |
賃貸併用住宅で節税するための実務的な手順
まず、賃貸併用住宅を検討し始めた段階で、利用できる税制優遇の概要を整理しておくことが大切です。
具体的には、住宅ローン控除の要件や控除期間、居住部分の床面積や割合などを、国税庁の「タックスアンサー」や関連資料で確認します。
あわせて、新築住宅や住宅用地に対する固定資産税の軽減措置、小規模住宅用地の特例などについて、国土交通省や総務省など公的機関の情報を確認しておきます。
内容を一通り把握したうえで、資金計画が固まる前後の段階で税理士など専門家への相談を検討すると、購入後の想定外の税負担を抑えやすくなります。
次に、購入後から初めての確定申告までの流れを意識して準備を進めることが重要です。
不動産所得の計算では、賃料収入から必要経費を差し引きますが、必要経費に含められる支出として減価償却費や固定資産税、保険料、借入金利息などがあることを国税庁の解説で確認できます。
これらを適切に計上するために、領収書や契約書、借入金の返済予定表などを科目ごとに整理し、自宅部分と賃貸部分を面積比などで按分して帳簿に記録しておくと、申告時に迷いません。
また、国税庁の収支内訳書の記載例などを事前に確認し、いつまでにどの書類が必要か逆算して準備することで、節税効果を高めつつ申告作業の負担を軽減できます。
さらに、賃貸併用住宅は長期にわたり利用することが多いため、将来の売却や相続も見据えた税務上の管理が求められます。
売却を行う場合には、取得費や減価償却費の計上状況が譲渡所得の計算に影響するため、建物や設備ごとの取得価額や耐用年数、減価償却の方法を継続して記録しておくことが有効です。
また、相続の場面では、貸家建付地や小規模宅地等の特例などの適用の可否が税負担に大きく関わるため、利用状況や賃貸契約の内容を整理し、定期的に税制改正の有無を確認する姿勢が欠かせません。
このように、購入前から将来の出口戦略までを一連の流れとして意識し、段階ごとに税務上のチェックポイントを押さえることで、住宅購入と不動産投資を通じた長期的な税負担のコントロールにつながります。
| 段階 | 主な確認事項 | 節税につながる行動 |
|---|---|---|
| 購入前 | 住宅ローン控除要件確認 | 公的情報で制度整理 |
| 購入後~申告前 | 必要経費と按分方法整理 | 帳簿作成と証憑保管 |
| 長期保有期 | 減価償却と契約内容管理 | 売却・相続時の税負担抑制 |
まとめ
賃貸併用住宅は、自宅と賃貸を組み合わせることで、住まいの確保と節税を同時に目指せる有効な選択肢です。
所得税・住民税だけでなく、固定資産税や不動産取得税、相続税までトータルで設計することが重要です。
ポイントは、自宅部分と賃貸部分を正しく按分し、経費や各種控除を漏れなく活用することです。
当社では、購入前の税制優遇の確認から、購入後の経費整理、確定申告や将来の相続まで、一貫してサポートしています。
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