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農業とエネルギーの共存か、それとも足かせか?岐路に立つ「営農型太陽光発電」と規制強化をめぐる葛藤

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小林 裕樹

筆者 小林 裕樹

不動産キャリア13年

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本日は、日本の地方や農業の未来に関わる、今とてもホットな話題をご紹介します。


皆さんは「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」という言葉を聞いたことがありますか? 


農地の上部に太陽光パネルを設置し、「農業」と「クリーンエネルギーの発電」を


同時に行うという、一石二鳥の画期的な取り組みです。



2013年の開始以来、農業の所得向上や農地保全の切り札として注目を集めてきましたが、


今、この制度が大きな「岐路」を迎えています。


農林水産省による「規制強化」の動きと、それに対する現場からの反発の声について、


その背景と課題をわかりやすく整理していきます。



 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは?


この取り組みは2013年に始まりました。 


一定の条件(地域の平均単収の8割を超える収量の確保など)を満たせば、


農地を一時的に転用して太陽光パネルを設置することができます。


農地としての固定資産税が割安なまま農業と発電を両立できるため、農家の所得向上や、


後継者不足などで増え続ける「耕作放棄地」の解消策として期待されてきました。


実際に、2023年度までに累計6,137件もの設置許可が出されています。

なぜ「規制強化」が必要になったのか?



一見、素晴らしい制度に見えますが、近年になっていくつかの「ひずみ」が表面化してきました。


一部の発電事業者が、耕作放棄地などを安く借り受けたものの、実際には農業に十分に取り組まず、


売電目的のパネル設置だけを行っているケースが相次いだのです。


農水省の調査によると、2023年度末時点で、設置された件数の約4分の1にあたる1,221件において、


収量未達や作物の生育不良などが確認されました。これは「農業の継続」という大前提を揺るがす


深刻な事態です。そこで農林水産省は、営農の実態を厳格に評価するため、以下のような新しい基準


(規制強化案)をまとめたのです。

50万円以上の農産物の生産・販売実績を示すこと


  • パネルによる遮光率を30%未満にとどめること

  • 「一律の規制強化」に上がる現場の悲鳴と反発

悪質な事業者を排除するための規制強化ですが、これが


「真面目に取り組んでいる優良な事業者まで排除しかねない」


として、現場や専門家からは強い反発の声が上がっています。

① スマート農業を導入し、地域を支える若手農家の訴え


長野県茅野市の中山間地域で、兼業農家としてコメ生産を営む帯川恵輔さん(30)は、太陽光発電による


売電収入を有効活用し、水の管理を遠隔で行える「スマート農業技術」を導入しました。


今回の「一律の規制」について、帯川さんは次のように懸念を表明しています。


「中山間地で水田を維持するための選択肢がかなり狭くなる」 特に農地の集約化が


難しい地域においては、単に数値で縛るのではなく「農地の保全に結びついているかどうか」


を評価基準にするべきだと実態に即した評価を求めています。

② 専門家が指摘する「遮光率30%未満」の科学的根拠の薄さ


また、自然エネルギー財団の石田雅也研究局長も、今回の規制に疑問を投げかけています。


特に「パネルの遮光率を30%未満に制限する」という点について、「全てに適用するのは、


あまりにも根拠がなさすぎる」と強く見直しを求めています。


というのも、世の中のすべての植物が強い太陽光を必要とするわけではありません。


  • 半日陰を好むコーヒー豆

  • 一定期間の遮光が必要とされるお茶

これらは実際に、30%以上の遮光環境下でも、発電と両立しながら上手に栽培されている実例があるからです。


作物の特性を無視して一律に「遮光率30%未満」と定めてしまっては、作物の選択肢や農業のイノベーションを


自ら摘み取ることになりかねません。




まとめ:悪質事業者の排除と「まっとうな事業者」の支援をどう両立するか


今回の問題の本質は、「不適切な売電目的の事業者をどう取り締まりつつ、地域の農業を守り発展させよう


としている誠実な事業者をどうサポートするか」にあります。


一律に厳しい数値規制を設ければ、管理は簡単になるかもしれません。


しかし、その結果として、長野県の帯川さんのように、売電収入をスマート農業に再投資して地域農業を


支えている若手農家の芽を摘んでしまうのは、日本の農業の未来にとって大きな損失ではないでしょうか。


地域の特性や作物の性質に配慮した、柔軟で「実態に即した制度設計」が、今まさに求められています。




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